PYGMALIUS ACADEMIA

2022/12/28 16:03

2022年11月14日から25日まで中米パナマで開催された、ワシントン条約の第19回締約国会議(CoP19)に、全国楽器協会の専門委員として、ピグマリウス・アカデミア理事長・堀酉基(HORI Yuki)が参加しました。今回のCoP19では弓のスティックに使用されるブラジルボク(通称:ペルナンブコ)の付属書I(象牙並規制)の審議に関わる重要な議論が行われました。
 
CoP19 国際会議場にて。写真左はベルギーの弓製作者、Maison Bernardel代表のピエール・ギヨーム氏(Mr.Pierre Guillaume)

以下、堀による報告(フェイスブックより抜粋)

(11月14日投稿より)
現在中米にあるパナマに来ています。首都パナマシティで開催される、ワシントン条約に関する国際会議=COP19に、一社)全国楽器協会のCITES委員として参加するためです。
この会議では、ペルナンブコ材(=ブラジルボク、弓のスティックに使われるブラジル原産の木材)に関するブラジル提案(付属書Iへの引き上げ、象牙並み規制案)について審議されます。

この提案がそのまま通ってしまうと、ペルナンブコ製の弓の国際取引ができなくなってしまいます。私どものような弓の製作・販売にかかわるものだけでなく、音楽家にも大きな負担がかかります。
そのため、全国楽器協会と経済産業省に協力・支援を受けながら、海外の関係団体と連携しつつ、この問題について取り組んできました。

今回の議論の焦点は、ブラジルボクの生息域を保護・育成しながら、弓作りの伝統や音楽文化への影響を最小限にとどめ、いかにしてサステナブルな仕組みを構築するかです。
「自然保護と文化活動の調和」は現代を生きる私達の共通課題です。そうした認識のもと、ビジターでの参加ではありますが、国際議論の状況を良く見聞して、日本のステークホルダーの皆様にも共有してまいります。


米国IPCI(国際ペルナンブコ保護イニシアティブ)代表、ジョン・ベネット氏によるスピーチの模様。




アメリカ・オーケストラ連盟副代表、ヘザー・ヌーナン氏によるスピーチ。


音楽業界によって主催された、ペルナンブコと弓についてのサイドイベント。

(11月26日投稿より)
中米パナマで開催されたワシントン条約に関する国際会議=CITES・COP19の結果をお知らせします。
この会議で、ペルナンブコ材(=ブラジルボク)に関するブラジル提案(付属書Iへの引き上げ・象牙牙並み規制案)が審議されることは、先の投稿でお伝えした通りです。

結論から申し上げますと、今回の会議では、音楽業界からの強い要望も実り、注釈の文言に変更を加えるものの、現在の付属書IIに止まることとなり、本日(日本時間11月26日深夜午前1時頃)本会議で正式に内容が承認されました。

注釈の内容は、今までと異なり完成品まで規制の対象となりますが、再輸出の楽器を除外することで合意しました。ブラジルから完成品が輸出される場合にはCITES許可証が必要になりますが、すでに海外に存在する製品は必要ありません。
つまり、ペルナンブコ製の弓を持っての音楽家の自由な渡航や商業取引が基本的に今まで通り可能となります。各国で再輸出品をどう認定するのかといった問題は残りますが、音楽に関わるステークホルダーにとっては、最高の結果であったと思います。

しかしながら、ブラジル政府がこの条件を飲むにあたり、ペルナンブコ材の在庫管理の強化、完成弓のトレーサビリティシステムの構築、植林についての支援など、取り組むべき内容が同時に提案に記載されましたので「自然環境保護と文化活動の調和」とういう理想へ向けての第一歩を切ったとも言えます。

これからも、日本のステークホルダーの皆様と一緒に意識を高め、引き続き国際枠組みの構築にも参画して参りたいと思います。

株式会社文京楽器/アルシェ 代表取締役
一般社団法人ピグマリウスアカデミア理事長
堀 酉基(ほりゆうき)