PYGMALIUS ACADEMIA

2023/02/04 16:41

デジタルデータを活用するモノづくり分野向けの、切削加工機や彫刻機などの工作機器の研究開発を手掛ける、ローランド・ディー・ジー株式会社 (以下、ローランドDG)の顧客事例集『Customer Success Stories Vol.5』に、当アカデミアの母体である株式会社文京楽器(代表取締役社長 堀 酉基)のヴァイオリン研究・開発部門での活用事例が紹介されました。



 デジタル技術で楽器を「修復」、文化遺産を後世に受け継ぐ


 文京楽器ではローランドDG製の切削加工機を導入し、楽器修復やカスタマイズ型フィッティングパーツの開発に活用しています。
 
 ヴァイオリンは500年の歴史を持ち、アンティークの作品も多数現存していますが、木製のため壊れてしまうことが当然あります。それらを修復するのは非常に難しく、熟練の職人にとっても、オリジナルを保護しつつ、複雑に欠損した木製部分を補修するのは至難の業でした。
 そこで文京楽器では、ローランドDGの光学スキャナーで補修部分をスキャンし、その部分にぴったりあう木製部品を切削機で製作し、接合、修復する方法を導入。デジタル技術と職人の技術を融合させた、「DX修復」ともいえる手法を実現しました。
 また、この方法の利点は、使用者の体格や性別に関係なく、誰でも使いこなすことが可能なこともあります。ヴァイオリン製作や修理の仕事は、刃物や重たいものを用いて、力仕事を伴う場面が多く、特に小柄な女性の職人にとっては負担が大きい仕事です。このローランドDGのマシンは現在、弊社の女性スタッフがオペレーションを担当しており、安全かつ非常に精度の高い仕事を行っています。


ローランドDG顧客事例集『Customer Success Stories Vol.5』より

真の顧客満足を求めて、すべてはプレイヤーのよろこびのために

 また、楽器の修復だけではなく、ヴァイオリンの「あご当て」のカスタマイズにも活用しています。
あご当ては、演奏者一人ひとりの体系や構え方などが異なるため、既製品の中から、自分にぴったりフィットするものを選ぶのは至難です。なかには、長時間にわたって自分に合わないあご当てを使い続けることで、首にあざが出来てしまう演奏者もいらっしゃいます。

 そういった問題を解決するべく、プレイヤー一人ひとりに合ったカスタマイズあご当ての製造をスタートしています。今はまだ既製品の中から一番自分にしっくりくるものを選んでいただき、それをベースにして高さ・皿の深さを調整していますが、将来的にはあごの型取りをして、完全にフィットする製品をつくりたいと考えています。


▽ローランド ディー・ジー・公式ホームページ

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